葫蘆島という地名は小さい頃から知っていました。学校の授業で、葫蘆島は半島であり、中国東北地方にある港町の一つとして有名で、造船などの重工業が盛んな町だと習いました。また、「葫蘆」は瓢箪(ひょうたん)という意味で、葫蘆島は地形上、海に向かって長く突き出していて瓢箪に似ているから地名の由来となったと聞いております。
瓢箪は中国でとても縁起の良いもので、昔から中国の人々に親しまれてきました。『西遊記』や『三国志』など中国古典文学の中で瓢箪を持つ仙人の姿が多く登場されましたし、日本の「桃太郎」や「かぐや姫」のように、子どものいない夫婦の元に瓢箪から子どもが生まれ、子宝が授かるという昔話も数多くありました。また、昔の人は瓢箪を水やお酒の入れ物として使ったり、瓢箪を縦半分に切って枓(ひしゃく)としても使ったりしていました。
ですから、私は小さい頃から葫蘆島をその可愛らしい地名からよく覚えていましたし、瓢箪は神秘的で幸せを運ぶ宝物だというイメージを持っていました。
日本に来て、葫蘆島は戦後の在留日本人が引き揚げられた港の一つであることを初めて聞きました。以前の可愛らしい地名という印象の上に、少し悲しいイメージが加わりました。今回は通訳として訪中団に同行させていただき、初めて自分の目で葫蘆島を見ることができました。
葫蘆島では「日本僑俘遣返之地」の記念碑や、世界遺産である九門口長城などを見学し、目と心で歴史の重みを感じました。通訳で「65年前に、日本人残留婦女たち、老人たちが着のみ着のまま葫蘆島から助けられて日本へ帰還することができました」と話した時、私は「もし自分と子どもたちだったら、どうなっていたんだろう」とふと脳裏で当時の様子を想像してしまって、目頭が熱くなりました……

葫蘆島市市政府への表敬訪問の際にも、副市長をはじめとする市政府上層部の職員の中にも若い人が多くて(副市長はまだ40歳だと聞き)、驚きました。副市長の紹介によりますと、葫蘆島市は悠久な歴史を持ちながら、新しい町作りに力を入れており、特に市民にとって最も重要で身近な教育、医療、経済の発展を推進しているそうです。

葫蘆島市政府からいただいた瓢箪の飾り物は、初めて手にした本物の瓢箪です。とても嬉しくて、自宅の玄関に飾り、我が家の幸福、日中友好と葫蘆島の発展を願いました。
二華院好恵
(中国名:趙好好)