――顔の見える民間交流の重要性
2014年5月9日
中国大使館友好交流部 汪婉参事官
一 長野県、県日中友好協会、松本市、松本日中友好協会は「顔の見える交流」で先導的な役割を果たされている
本日、加藤さゆり長野県副知事、坪田明男松本市副市長、相澤孝夫松本日中友好協会会長ご夫妻、会員の皆さんをはじめ、各方面の方々と、いわゆる「顔の見える」交流という貴重なチャンスをいただき、大変嬉しく思います。いま中国と日本との関係は大変複雑で、困難な状況にありますが、このような時こそ、向かい合って、語り合うことによってお互いに理解を深め、誤解を解消することが大変重要だと思います。ゆえに、本日の演題を、西田節夫理事長と何度も相談した結果、「顔の見える民間交流の重要性」と決めました。
「顔の見える交流」と言えば、長野県、県日中友好協会、松本市、松本日中友好協会の皆さんが、2012年以後、両国関係が大変厳しい情勢にあるにもかかわらず、実に先導的な役割を果たされてきました。特に2012年両国関係が危機的な状況の中で、相澤会長ご夫妻、西田理事長を始め、松本日中の皆さんが、中国大使館の庭園に「しだれ桜」と「藤の花」の記念植樹と記念石碑を設けてくださいました。
以来、毎年の4月に長野県、松本市、松本日中の皆さんが中国大使館と、「観桜会」を行います。今年の4月14日にも阿部守一知事、相澤会長ご夫妻をはじめ、県職員、市職員の皆さん、日中友好協会の代表の皆さん、一行29名の方々が中国大使館を訪れ、「観桜会」を行いました。 程永華大使は中国大使館主催の昼食会で挨拶し、「中国政府は、中日間の地方交流、民間交流を支持し、これは両国国民間の相互理解の増進に役立つことだ」と述べ、阿部知事、松本日中友好協会を始め、長野県の方々が積極的に中日友好活動に携わっている姿勢を高く評価しました。阿部知事は「国同士の関係が様々な課題があっても、しっかりそれを乗り越えて、さらに友好交流を深めていくことが大切だ」と述べられました。相澤会長は「政治的な関係が冷え込む時だからこそ、民間交流の重要性が大きくなる。これが日中関係の改善に繋がることを期待している」と述べられました。「観桜会」は両国関係のもっとも厳しい時期に誕生され、しだれ桜が成長するに伴い、両国関係が徐々に改善することを心から祈っております。
阿部知事は、「私は常々、地方間や民間での相互理解、相互信頼関係を築くことが重要との認識の下で、中国の方々との顔の見える交流を進めてきたところです」とおっしゃるように、去年の10月下旬に、困難な状況の中で、長野県と河北省との友好提携30周年に当たり、阿部知事は、日本の地方自治体の首長として率先して中国を訪問されました。張慶偉河北省長とはじめて会談し、両県省が今後「青少年交流」、「経済交流」、「環境」、「医療、介護福祉」、「観光」という五つの分野で交流する計画を立てました。阿部知事が訪中される前、そして日本に帰った後、ご多忙な日程の中、県日中の西堀理事長、西田副理事長、松本日中の相澤会長とともに、わざわざ長野県から中国大使館を訪れ、程永華大使と意見交換をされました。長野県日中と松本日中はつねに阿部知事をはじめとする長野県の中国との交流を力強くサポートしていると思います。
松本市は河北省廊坊市と友好提携を結んでおり、今年で19年目を迎えます。また松本日中友好協会は遼寧省葫芦島市を親善交流都市として長く親交を深めていると思います。両国関係が波風、紆余曲折があったにもかかわらず、日中友好協会の皆さんはぶれることなく、民間友好の信念を貫き、市民レベルの交流を通じて、相互理解と相互信頼関係の構築に、大いにお役割を果たされてきました。この場をお借りして、中国大使館を代表致しまして、心から敬意を申し上げたいと思います。
二 両国関係に障害を作る言動には断固として反対
皆さんご存知のように、去年、2013年は中国と日本との関係にとって非常に困難な一年でした。両国各界は関係改善のために苦しい努力をされました。特に民間友好団体はこの困難な局面を打開しようと、いままでのパイプを詰まらせることがないように、一生懸命頑張りました。私たち中国大使館友好交流部は、日頃、各地の日中友好協会、民間友好団体との交流を通じて、会員の皆さんがこの困難な局面を打開するために、様々な努力がなされていることがわかりました。相澤会長の「政治的な間係が冷え込む時だからこそ、民間交流の重要性が大きくなる」という言葉は、多くの友好団体の皆さんのお気持ちを表している、代表していると思います。両国の関係が谷の時期に、よく感じられるのは民間友好団体の活発な動きでございます。
双方各界のたゆまない努力のもとで、昨年秋以後、両国関係に実質的な改善がまだ実現できていないとはいえ、各分野における実務的交流は次第に回復の兆しを見せ、地方自治体の交流、特に友好提携県と省の実務的交流が徐々に回復の兆しが見られるようになりました。阿部知事が率先して中国を訪問し、さらに神奈川県黒岩知事、長崎県中村知事、鹿児島県伊藤知事なども去年の秋以後相次いで中国を訪問されました。その背後には常に県日中友好協会、民間友好団体の強いサポートがありました。中国側としても、新しい年に中日関係の改善をいかに推進していくかを考えていました。去年の12月20日に、程永華大使は岸田文雄外務大臣と面会し、新たな年における両国関係を企画し、戦略互恵関係の正常な軌道に戻るために、双方とも努力すべきことなどで合意しました。中国の中央テレビが即時にこのニュースを放送しました。その日に、私の携帯に中国からの電話が沢山入りました。2014年に子供を日本留学に送る親たちのほっとした声、日本と医療分野の交流をしたい医者のうれしい声、日本と経済交流をするかしないかでずっと悩んできた友達のうれしい声などでした。中国の人々も両国の安定、良好な関係を望んでおります。
しかし、その一週間後に安倍首相がA級戦犯を祀る靖国神社を参拝し、両国関係の改善プロセスを「ゼロ」に戻してしまいました。安倍首相は「中国との対話のドアはつねにオープンしている」と言いながらも、自らの手で中国との対話のドアを閉め、多くの人々の努力と希望を水の泡にしてしまいました。安倍首相の靖国神社参拝に対する国際社会の反応、良識ある日本国民の反応がご在席の皆さんのご承知の通りです。長野県日中友好協会も抗議の声明を出しました。
私は今年の一月、各地日中友好協会の新年会に参加した際に、会場で多くの中国人留学生に会いました。中国の若い人たちが私にこう言います。「私たちは日本のアニメを見て成長しました。私たちのような中国の青少年が非常に多い。アニメが好きだから日本留学に来た人も少なくありません。しかし、アニメで得た平和日本のイメージとA級戦犯を英霊として参拝する日本の最高指導者の行為は、わたしたちの中では、相容れないものです」。
私は、多くの日本人の方々から、日本に対する印象をよく聞かれます。いつも答えるのは、日本の一般市民の配慮、思いやりです。外国人が日本を訪れ、日本社会が素晴らしいと思うのは、やはりお一人一人の市民の気配り、思いやりが各業各界において反映されているからです。しかし、日本を代表する一部の要職にある公人には、近隣諸国に対する配慮は見られません。例えば、21世紀になった今日でも、マスコミの前で、中国を「シナ、シナ」と叫ぶ。政治家たちがA級戦犯を祀る靖国神社への集団参拝も近隣諸国の一般市民に対する配慮はありません。
中日両国の友好提携都市の交流に悪影響を与えたもう一つの例があります。2012年2月、南京市政府の代表団が姉妹都市の名古屋市を訪れ、河村市長を表敬訪問した際に、市長が突然メデイアの前で、南京大虐殺が存在しなかったと発言して挑発しました。代表団の団長が突然のことに対応できず、そのことが中国にも報道され、団長が批判をうけました。石原慎太郎元東京都知事や名古屋市長など日本の顔を代表する自治体首長の挑発言動は、両国の地方自治体の交流、各地日中友好協会の交流に大きなダメージを与えました。私が中国の地方幹部から聞いた話ですが、われわれは外国で、特に外国のメデイアの前で突然挑発されると、どう対応するかわかりません。そういう外交経験がないからです。もし、向こうが落とし穴を作って待っているなら、私たちは行かないことにします。
近年中国と日本との間に出てくる領土問題、歴史問題をめぐって議論する場合、日本人の方々からよく聞くお話は、「止められなかった」。例えば、本来静に棚上げしていた島の問題が、石原元都知事によって挑発され、当時の民主党政府が「それをとめることができなかった」という理由をよく聞きます。そして、今回の首相参拝についても、「首相個人の信念の問題であり、官房長官でさえも止められなった」という理由もよく聞きます。しかし、中日関係はつねに、このような「とめられなかった」という理由で、しきりに妨害され、破壊されていいのか?皆さんとともに真剣に考えていきたいと思います。私は、日本の一部の人、特に公的立場に立つ人がわざと領土問題、歴史問題を持ち上げて挑発したり、両国関係に障害を作ることには怒りを感じます。これは、善隣関係を保つために尽力されてきたすべての人々、中国人も日本人も含めて、その真心を踏みにじる行動だからです。
三 「中国崩壊論」から「中国脅威論」へ
私は、1989年に、ちょうど「天安門事件」の年に、日本に留学にまいりました。いまでもはっきり覚えておりますが、当時の新聞を読みますと、日本を含む西側諸国は、中国が必ず分裂、崩壊すると予言しました。しかし、その後、中国は崩壊するどころか、急成長を遂げ、2010年についに世界二番目の経済大国になりました。1990年代から2010年までの20年間、西側諸国における中国の見方は大きく変わり、すなわち「中国崩壊論」から「中国脅威論」に変わってしまいました。
いま、日本国内において中国脅威論、中国が力によって現状を変えようとする議論が流行っていることから、私は中国の歴史を研究する者として、中国の平和主義について、時間の関係で、ひとごと申し上げたい。「二千年」にわたる中国が「強」、日本が「弱」の状況の中で、中国の軍隊は一度も日本の国土を踏んだことはなかった。しかし、日本が「強」となった近代100年ぐらいの歴史の中で、状況が一変した。いまは構造変化の時代であり、中国と日本が「強強」の関係になっているという理論をよく聞きます。われわれは日本の右翼勢力に対して、もうこれ以上中国に対して挑発しないでほしい、と申し上げたい。将来人々がこの時期の中日関係史を書くとき、事実として、2012年4月に日本の右翼勢力による領土問題の挑発が、この時期の日中対立の発端となったという事実は誰も否定できないでしょう。この問題における中国の対応は、「力で現状を変える」ものではなく、日本政府による現状変更、つまり島の「国有化」に対してとられた、必要な主権維持の行動だと中国の人々が考えています。
四 中国人の平和を尊ぶ伝統的精神はDNAに根ざしたものである
最近、習近平主席はいろいろな講演の中で、言葉を尽くして中国の平和主義を説明しました。「中国人が平和を尊び、和を以て貴しとなすという伝統的精神はDNAに根ざしたもの、人間に空気が必要、万物の生長に太陽の光が必要のと同じように、中国はこれからの発展に平和が必要です。中国が平和的発展の道を歩むことは、一時的な措置でも、外交辞令でもなく、歴史、現実、未来を踏まえた客観的な判断から得た結論です」と、中国の平和主義を懇切に説明しました。
さらに、「中国が経済発展に集中して力を注ぐためには、まず第一に調和の取れた安定した国内環境、第二に平和的で安定した国際環境、という二つの基本条件が不可欠です。中国は断固として平和発展の道を歩む。これは中国の発展の方向性に注目する国際社会への回答です」。
中国の周辺外交政策について、習近平主席は、「遠くの親戚より近くの隣人、という言葉があるが、隣国を選ぶことができず、その関係は世々代々続いていく。われわれは隣国と良い間係をもち、隣国をパートナーとすることを唯一の正しい選択と見なしています。中国は周辺国に対し、『親(親しい)、誠(誠実、誠意)、恵(互恵)、容(寛容、包容)』という理念を堅持していく。われわれは協議と対話を通じて意見の相違を適切に調整し、争議を解決することを主張します。中国の主権および領土保全に関する重大な原則問題に関しては、我々は摩擦を起こす意図はないが、妥協することもない。中国の正当かつ合法な権益を断固として守っていく」と述べました。
この真摯な態度による対外的な宣言は、中国の平和的発展への決意をよく示しており、日本の各界がこれを理解されるよう切に希望します。
五 国民のための政治を目指すには、安定した国内環境と平和的な国際環境が不可欠である
上述内容の中で、特に重要なのは、「中国が今後も経済発展に集中して力を注ぐためには、1、調和の取れた安定した国内環境、2、平和的安定した国際環境、という二つの基本条件が不可欠である」という指摘です。
中国では、一昨年の11月に、第18回共産党大会が開かれました。2020年までに国民所得を2倍にする、いわゆる中国版所得倍増計画を発表しました。いま現在の一人当たりGDPは約5000ドルであれば、2020年には10000ドルに拡大するということになります。10年間で所得を2倍にするため、GDPを年平均7%成長させれば、実現できます。
これを実現するには、国民の間で公正に分配することが大事です。この30年間、所得格差が拡大しつつあります。腐敗現象もひどくなっています。それを是正しなければなりません。今年3月5日から13日まで開かれた政治協商会議及び全国人民代表大会では、習近平主席を始めとする指導部は、腐敗抑制、格差是正、環境保護、社会安定などの課題に取り組み、「改革」への強い決意を示していました。3月5日の開会式で政府活動報告を行った李克強首相は「改革」という言葉を77回も繰り返し、改革の決心について「背水の陣を敷いて一戦を交える気概を持つ」、「固まった既得権益の垣根を突破する」などの強い言葉で、中国の政治、社会、司法など各分野における改革の決意を表明しました。
中国は国民のための政治を目指す場合、なによりも平和的な国際環境が不可欠です。中国は今後も引き続き平和的発展の道を歩み、互恵ウィンウィンの開放政策を実行します。「平和、発展、協力、ウィンウィン」
は中国が自ら守る発展の理念であり、世界に発信する重要な呼びかけでもあります。
六 中国の発展は日本にとって「チャンス」か、「脅威」か?
長い間、日本国内では中国をパートナーとするのか、それともライバルとするのか、中国の発展をチャンスとみなすのか、それとも脅威とみなすのか、というような論争が絶えませんでした。一昔前に、日本社会では「中国チャンス論」が主流の意見でしたが、近年になって「中国脅威論」、さらに中国を日本の主要な「仮想敵」に仕立てる議論が多くなっています。いかに成長する中国を抑えるか、いかに中国を封じ込めるかという偏狭なナショナリズムを煽る議論が流行っています。
グローバル化が進む中、世界各国の関係がますます緊密化し、いかなる国の発展も、世界、特に地域の隣国との互恵間係と切り離すことができません。中国の発展は世界により多くの発展のチャンスを与えています。中国の工業化、都市化、情報化、農業の近代化がこれからの課題であり、今後も成長潜在力が大きい。中国は9兆㌦を超える規模の経済体として、今後もなお7・5%前後の比較的高い成長を維持していくでしょう。中国は引き続き市場を拡大し、国際的な投資・融資を増大し、自由貿易圏の建設を加速します。中国の年間輸入総額は2兆㌦に近づいており、今後5年間に10兆㌦を超える商品の輸入が見込まれます。昨年、中国の対外直接投資がすでに900億㌦を超えました。
中国の持続的発展、安定成長することは、世界にとって脅威ではなく、世界経済の推進力であることを理解していただきたい。グローバルが進む今日、世界各国の連携がますます緊密になり、アジアは共同な発展と繁栄を目指す大家族になるべきです。中国と日本との経済協力について言えば、双方には環境保護、循環型経済、医療など、様々な分野で協力する余地があり、中国は日本の先進技術と経験を学び、日本も中国チャンスを十分に認識して、中国の改革全面深化のプロセスに参加し、共に新たな発展をめざすことこそ、両国の国民の根本利益に合致すると思います。
七 日本の一般市民が日常生活の中で、身近に感じているのは中国からの脅威でしょうか?それとも互恵間係による利便性でしょうか?
わたくしは、日本に前後20年以上滞在していたものとして、相手国は脅威なのか、それとも互恵関係を結ぶことのできる善隣なのか?それを判断するのは、メデイアの宣伝によるものではなく、自分で見て、体験して判断すべきだと思います。
領土問題、歴史問題で両国関係が悪化されるいま、政府間の相互訪問などは減少したものの、中国の人々が自然な形で各分野において日本との交流を保っています。いま日本に在住する中国人は約80万人、特に減少はしていません。在日外国人の中で一番多い。日頃日本社会で一般市民にお世話になっていると同時に、働くことによって日本社会に対して貢献もしています。一方、中国には日本企業約2万2千社ぐらいあります。16万人ぐらいの日本人が中国で働いています。
そして日本にいる中国人留学生は10万人ぐらい、外国人留学生全体の6割を占め、ここ十数年つねにトップとなっています。技能研修生も13万人ぐらい、各国の中でトップです。中国からの短期訪問客も両国関係が厳しいとは言え、日本政府観光局が発表した訪日外国人数によりますと、中国人訪問者は去年9月以来、連続して各月における過去最高に達しています。このゴールデンウィーク中に富士山を観光するため山梨県のある旅館に泊まりました。この旅館では、去年秋以後中国からの観光客がつねに6割以上占めていたことで、旅館は大学を卒業したばかりの中国人留学生を採用して対応しています。2012年以後、両国関係の悪化でやむを得ず閉めた多くの旅館が徐々に再開しています。それは双方の市民にとっていいことではないでしょうか?
日本の一般市民が日常生活の中で、身近に感じているのは中国からの脅威でしょうか?それとも互恵間係による利便性、利益でしょうか?1980年代、私がはじめて日本に留学に来た時期に、日常生活の中で中国の要素がほとんど感じられませんでした。しかし現在、衣食住のすべてが中国と関わっているのではないかと思います。食べるもの、例えば日本の既成食品の食材の90%以上が中国から輸入されています、飲み物、ビールやウーロン茶の原材料も多く中国から入っています。着るもの、一例だけを挙げますと、ご来場の皆さんがどなたも一度はユニクロの衣類を利用したことはあるでしょう。そして日常生活用品の多くも中国製です。中国製のおかげで、日本の一般市民が安くて品質のいいものを利用しています。これは私たちがもっとも身近に体験できる真実です。
2013年5月、松本市のお招きで程永華大使とともに訪れました際に、相澤院長のご好意で相澤病院を見学しました。その時、11名の中国人看護師から暖かい歓迎を受けました。相澤病院は2001年から、中国の廊坊市などから優秀な学生を受け入れ、看護学校で看護師として育成し、すでに37名の中国人学生が支援を受けました。相澤院長の次のようなお言葉が非常に印象深かった。
「中国の医療機関などとの各種交流活動に架け橋として貢献することを、大変誇りに思います。日本の医療のグローバル化に伴い、引き続き積極的に中国出身の職員を含め、優秀な外国職員を受け入れ、育成し、真の国境のない医療を実現したいと考えております」。わたくしは、これこそ、近隣の国同士として、本来あるべき善隣関係だと思います。
八 国のまじわりは民の親しみにあり
日中友好協会をはじめ、友好諸団体の皆さんが、いまのような困難な状況の中で両国関係の大局を守るためになされてきたご努力は、時代の発展に合致し、両国国民の共通の利益をもたらすものだと思います。中国の古い諺に「国のまじわりは民の親しみにあり」と象徴されますように、民間交流は国家関係の基盤であり、原動力でもあります。健康的に、安定的に中国と日本との関係を発展させるためには、国民間の相互理解や友好関係、信頼関係の構築が不可欠です。
最近、日本国際貿易促進会、東京都知事、日中友好議員連盟及び「AA研」等が相次いで中国を訪問し、中国側も日本の経済界、地方自治体、民間交流に対して積極的な姿勢を示しています。去年11月に中国の汪洋副総理が米倉会長を始めとする日中経済協会の訪中団と会談した際に、経済交流、文化交流、民間交流を維持することを発信しました。そして今年の4月15日に河野会長を始めとする日本国際貿易促進協会と会談した際に、「日本の為政者は中国、アジアの人々に対して不愉快なことをしている。中日両国の経済にも悪影響を与えている」と批判しながらも、「両国の経済関係が互恵、ウインウインになるべきだ」と、経済、民間交流を重視する姿勢を示しました。同じ4月26日に汪洋副総理は舛添東京都知事と会談した際に、「日本の政治家は日中の協力関係を阻害するような動きを慎むべきだ」と批判する一方、「日中間の自治体同士の協力を中国政府も強力に支援し、関係改善の基盤を作っていきたい」と述べました。
汪洋副総理が日本の各代表団と会談した際に、何度も高知県日中友好協会の渡辺英子さんにふれました。1980年代汪洋副総理が安徽省で副市長をつめた時代に、政府派遣の訪日代表団として始めて訪問したのは高知県でした。当時高知県日中友好協会の事務局長を勤めていた渡辺英子さんのお世話になり、渡辺さんが日中民間交流のために一生懸命働いていたことに大変感動したそうです。
各地日中友好協会の皆さんがよくおっしゃるのは「私たちは大きな事はできませんでしたが、小さな事を続けることはできました」。いまのような困難な時こそ、草の根の交流、心のこもった交流が大切だと思います。小さいな努力の積み重ねは必ず大きな流れを作る、大きな潮流をつくる。国民感情の改善にプラスになると信じております。日中友好協会の皆様が引き続き中日民間友好の素晴らしい精神と「民をもって、官を促す」という良き伝統を受け継ぎ、中日関係の改善に新たに貢献することを切に期待しております。私たち中国大使館友好交流部は、日中友好協会をはじめ、日本の各民間友好団体の皆さんと手をたずさえてともに頑張りたいと思います。民間交流はどんな障害があっても全力を挙げて進めたいと思います。
九 中国大使館友好交流部の仕事(パワーポイント)
中国大使館友好交流部の仕事を紹介するとともに、特に各地日中友好協会、民間友好団体の活動について紹介したいと思います。
1、日中友好協会をはじめ各民間友好団体との交流。
2、各地方自治体との交流。
3、アジア婦人友好会および各界の女性団体との交流
4、両国青少年交流を支援
5、文化交流 以上、