2014年5月27日火曜日

汪婉参事官女士の講演の意義 理事長西田節夫


 
汪婉参事官女士の講演の意義 2014429日 西田節夫

 中国との関係に悩まされる日々が続く。日本の経済人のほとんどが良好な関係を望んでいるにもかかわらずなかなか愁眉を開けない。民間レベルでは連綿と絆を強めているが双方の世論が硬化している。毎日、新聞を開いて日本と中国の「友好」に関する記事を読むと心が安らぎ、「摩擦」の記事を読むと憂鬱になる。「一衣帯水」の国といがみ合いが続くのは心が落ち着かない。隣国中国どうかかわるか。先般行われた日米首脳会談で鮮明になったのは米中関係と日中関係の大きな落差だった。オバマ大統領は尖閣諸島を日米安保条約の適用対象といいつつ、中国とは緊密な関係保っているとし、安倍晋三首相に中国との対話を強く求めた。日米同盟の強化を対中戦略の柱に位置付ける安倍政権との違いは大きい。米大統領が初めて尖閣諸島を日米安保条約の適用と明言したことに日本政府は安堵しているが、米政府内には従来の閣僚発言の繰り返しという判断がある。注目しなければならないのは、オバマ大統領が日本での日米首脳会議であるにもかかわらず、中国を「世界にとって非常に重要な国」と配慮していたことだ。そのうえで、大統領は「事態がエスカレートし続けるのは正しくない。日本と中国は信頼醸成措置を取るべきだ」と対話を促した。「地球儀を俯瞰する外交」を掲げる安倍政権は今年の大型連休は26日から511日までに首相と閣僚15人が日本を飛び出す。訪問先はアフリカ、欧州、中央アジア、など幅広い。ただ歴史問題などで対立する韓国に2閣僚が足を運ぶ一方で、中国は昨年に続き閣僚の訪問はゼロだ。「戦争状態でもないのに、隣国同士が一年も話し合えないのは歴史的にみても異常」と考える。将来を担う世代への影響が気になる事態である。このように日中改善が遠のくなか、59日(金曜日)当協会平成26年度総会に「混迷する中日関係を見つめて」~顔の見える民間交流の重要性~と題して中国駐日本国大使館汪婉友好交流部参事官女士が御来訪になり講演をしていただくことになり心から感謝している。 先ごろ中日友好協会唐家璇会長は「こうした時期にあたり、私たちは中日関係において古くから受け継がれてきた伝統的な精神を力強く高揚させるべきだ。それは「以民促官、以地方促中央」(民をもって官を促し、地方もって中央を促す)」という精神だ。更に程永華駐日中国大使は一般に日本では、文化面で両国は根源的に非常に深いつながりがある。現代の日本文化の中におおくの中国から伝わったものがあるという事は、日本社会の共通認識である。「日本の民衆は政治的主張の相違を棚上げし、中日文化の間にある共通の言語に親しみを感じる」ことができ交流できる余地はまだまだ大きいと感じている。人民中国の取材に応じて「さまざまなレベルでの交流を」と題して述べている。「以民促官」「以文化促中央」である。1939年4月29日、75歳、亡き父母の影響と環境で、生まれると同時に日中友好活動に従事してきた。一日も早い日中改善を祈願している。