2015年8月27日木曜日

謝罪貫く真の勇気求める 理事長西田節夫




謝罪貫く真の勇気求める

戦後70年の安倍晋三首相談話の要旨に中国や韓国などにお詫びを繰り返す「謝罪外交」に区切りをつけたい意向をにじませ、未来志向で世界の平和と繁栄に貢献する考えを示した。更に次の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないとも述べている。私はそうは思わないのである。中国側の統計で死傷者3500万人もの犠牲者を強いられたとする中国の民衆が、日本に「日本鬼子」として好感を持たないのは当然だろう。立場を替えて想像すれば、それはすぐ分かる。日中戦争当時、中国の方がずっと強大で、中国軍が日本中を荒らし回り、多くの肉親や友人を殺傷して去ったとしたら、今その恨みは消えているだろうか、それは不可能である。中国の一般民衆の反日感情は、実は反日教育だけの結果ではない。私はその事実を直視するように日本国民に求めている。若い世代は自らが起こした訳でもない戦争の責任をなぜいつまでも負い続けねばならないか、理不尽に思うだろう。しかし、日本が戦争でアジア諸国に強いた苦痛を理解すれば、それは現在の繁栄を享受する日本国民として、当然に背負わねばなれぬ重荷と分かるはずである。財産を継承しながら、負の遺産だけは継承を拒否する者が、世の中からまともに扱われることはないのだ。
第一次大戦後、フランスはドイツに天文学的賠償金を課した。今の中国の対日復讐心は当時のフランスに似ている。それはヒトラーの合法的政権に道を開いた。独仏間に不再戦の願いが浸透したのは、残念ながら二度目の総力戦の後だった。
その愚を東アジアで繰り返してはならない。算出すれば巨額に上がったはずの対日戦争賠償請求を自発的に放棄した1972年当時の中国政府の英断を日本国民はもう一度想起すべきである。そして謝罪を貫いたドイツ国民の英知に学ぶべきである。
謝罪は、受け入れられなければ完成しない。中国指導者が日本に「歴史認識声明」を求めるのも、これまでの日本の謝罪が不十分だと考えているからである。もうこれ以上謝らなくていい、と中国民衆から言ってもらえるようにならなければ、日本が国際社会で敬意を払われる時代は来ない。道はほど遠いが、今ほど謝罪を貫く真の勇気が私達に求められている時はないのである。
2015814日午後6時 安倍晋三首相 70年談話を拝聴して
2015815日午前9時 敗戦記念日  70年談話の所見を記す。
                 松本日中友好協会
                   理事長 西田 節夫